推し、ガルクラ、Either way

長らく「推し」という言葉に対して強い抵抗感があって、自分から使うことはなかったのだけれど、他方で、その言葉によって名前の付けられない気持ちを表現することができるようになった人もいてそれ自体が悪いとは思わないのだけれど、自分がなぜ「推し」という言葉と距離を置きたいと感じていたのか、今日、ふと気づいたような感じがしたので、備忘録として残しておきたいなと思います。

 

推しという言葉がこれだけ使われるようになった背景に48Gがあることは間違いないと思います。推しという言葉が48Gにフィットしたのには、総選挙というシステムがあって、実際の間接民主制における選挙という手続き(総選挙の正当性を担保しているというショーのために立会人弁護士もいる)において党推薦などがあるように、それを模したことで、自分の好きなアイドルをステージに上げるために頑張る、その行為が恐らく推すということなのだと思います。(今の推しは必ずしもそういう文脈ではなく、好き、くらいのときも多々ある気がする)私がどれだけ推しているかということが、総選挙における投票数であり、大量に購入したCDケースをインターネットに放流することが思いの強さの定規になってしまっていた。でも、こういう量的なものを誇ることって珍しいことではなくで、時間的、買ったグッズの量を誇ったり、全通したりするなんていうのはあったわけですが、そういうものを先鋭化させてしまったんじゃないかなあという気がしました。

次に握手会というシステム。ステージの上の人と客というのは、(私の中では)決して崩れることのないジェリコの壁があってお互いに触れることができない世界という気持ちがあるのですが、そういうのを取っ払ってお互いに文字通り触れ合う時間を設けたこと、そしてその時間は、総選挙のときと同様、大量の金銭によって伸び縮みするものであり、それが伸びることで自分の推しに認知してもらうことができるという悪魔的なアレでもうね、かわいそう。(ちなみに私自身、好きなアイドルに自分が認知されているということは涙が出るほど(実際にでた)嬉しいことだというのは自分なりには分かっているつもりです。でも、そのアイドルと私は接触したことないし(握手会もチェキもしたことない)、今後もするつもりはないです)握手会の何が最悪って、ファンは金つかうし、アイドルも危険と紙一重っていうか、実際に危険に晒されて心身ともに傷ついた人間もいるわけじゃないですか、売り方としてありえないですよってずっと思ってましたし、今でも思っているので、それを人口に膾炙させて当たり前にしてしまったのは本当に良くない。日本のアイドル文化における敗北です。何に対してのって言われるとわかんないけど.....。オタクとしての矜持?(は?)

それとこれは、アイドルとか俳優とかそういうのが生きる糧になるような人というのは、往々にして社会的弱者だと私は感じていて、例えばそういうのが『推し、燃ゆ』なんかには描かれていたと思うんですよね。それがないと生きていく価値がない、みたいな。もちろん、娯楽的な側面もあるのだけれど、そういう軽くない、重たかったり、欠陥品みたいな人間が縋る先としてあったもの、その対象への自分の気持ちの表現の仕方を、いかに自分が推しているかということを、ある一面においてではあるにせよ、定量的なものとしか判断することができないというひとつの価値観、しかもその判断基準がその文化の中で生きていくのであれば重要であるという共通認識を持たせるようにしたことが、私が推しという言葉に対して抱く嫌悪感の理由の大きな部分を占めているのではないかなという気がしました。推しという言葉には作法を強要させてくるような圧迫感がある。いや、私がそこまで鬱々と考えずに、気楽に使えばいいじゃんって話なのですが......。あのやり方はファンもアイドルも搾取してるので、本当にやめて欲しいってずっと思ってます。

あと、歌詞が僕っていうのもめちゃくちゃ嫌い。品性を疑う。もう、なんか、あんまり考えてなくて、感覚的に入力してるけど、疲れてきた。だいぶ疲れてる。今週体調悪いんですよ、なんか。だるい。

 

で、この次にガルクラ、Either wayと続くのですが、BLACKPINKって、グループ名にもあるように新しい女性像の提示みたいなコンセプトがあって主語も女としての私で、従来のアイドル像としての女性であったり、社会の中における女性という観念に対する抵抗で、EDMはじめ2000年代以降のクラブミュージックの影響を受けながら、今までとはちょっと違うもので勝負をしていた気がします。それに対抗して出てきたのが、今ブレイクしているNewJeansで、いや、やっぱり女の子の関心って恋とか流行りものじゃないっすかっていう感じだし、そういうのが好きなおじさんが好みそうなそれよりも古い音楽(でもやっぱりクラブシーンの影響下にある)からの引用だと思うんですよね。で、2nd EPのGet upでk-popをめちゃくちゃに破壊してしまった(と私は思っている)のだけれど、そこから立ち上がって来たのが、NewJeansがコカ・コーラなら、ペプシで殴り込みというIVEが出したEither wayなわけです、低レベルな相対主義に陥りかねないような、なんだって良いですよね、言うて全部良いですよねというやつは、アイドルとファンの間の和解であり、男と女の和解であり、理想と現実の間で引き裂かれてきた過去と今の自分との和解を示しているのです。今まで自分が選んできた道に間違いなどない、正しいか間違ってるかなんていこと自体が問題になることがおかしくて、だってそれはみんな違うんだから私が良くてあなたが悪いことなんて判断しようがないでしょうと、IVEはそういってくれている。っていうか、それにしても、鳴ってる音が少なくてすっごい今っぽいですね。あと、IVEのロゴ好きなんですよ。カッコいい。3文字のロゴ好き、YSLとか......ほかに思いつかないけど......。アイドル曲じゃなくて、シンガーソングライターが歌うような曲じゃね......って思いました。

 

まあ、ここまで私の文章を読むくらいなら読み飛ばしてこの動画を見るのがこの記事を読む上での唯一の正解です。

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では、ごきげんよう