THE PARK/赤い公園

 赤い公園が解散した。私が新譜で必ずCDを買っていたのがsora tob sakana赤い公園(だけ)だったので、新しい音源を常にチェックし、リリースが決まれば必ず予約するという行為は必要なくなったわけになります。寂しいことだ。

 赤い公園に対する個人的な思いについてここからは書こうと思う。多分、共感はされずらいと思うので、赤い公園に対する興味よりは、書き手の私に対する興味がある人だけ読み進めた方がいいかも。

 

 私が赤い公園を知ったきっかけは、ツイッターmixiだったと思う。余談だが私は未だにmixiにログインしていて、最近ははてなブログを更新するたびにそのリンクをmixi日記に投稿していました。

 

 2013年5月27日のmixi日記に赤い公園の「のぞき穴」について言及しているのが恐らく赤い公園について初めて言及している日記で、booklogに「今更/更新/さよならは言わない」を2013年8月1日に登録しているので2013年半ばには赤い公園を聞いていたことになる。「透明なのか黒なのか」と「ランドリーで漂白を」は中古で確か購入したのだけれど、「透明なのか黒なのか」の最初の「塊」を聞いて、私は音楽、少なくともオリジナル曲を作ってバンドでやることはやめようと思ったんです、それくらいにはショックだったんですよ。

 で、2013年に音源を聞いて度肝を抜かれて、2013年7月20日横浜BLITZで行われるsound jack festival 2013のライブに行っています。これは赤い公園、sebastian X、パスピエという、あーそういう時代あったねみたいなメンツですね。これのライブに行ったら、当時一緒に相対性理論コピーバンドをしていたギター(ロリコン)と会って、私が赤い公園を推してて、mixi日記にも書いてたから、試しに来てみた、みたいなことを言っていて、あれ、なんかちょっと良い話かもしれないですね、確かライブ終わった後、かっこよかったとかなんとか言ってた気がしますが、捏造された記憶かもしれません。私的には、のぞき穴、塊、透明、娘を聞けてホクホクしたらしい。この頃は、寝ても覚めても塊と透明だったと思う。確かこの時期にaiko赤い公園っていうバンドがあって「ランドリー」が好きということをラジオで言っていた気がする。その放送を聞いたことはないけど。aikoは「ランドリー」好きなのかー、マジで赤い公園好きなんだなって思った記憶がある。

 

 個人的に赤い公園で忘れられないライブは2014年9月30日(もう7年くらい前になるのか、まだ4年前くらいの感覚でいた)のスペシャ列伝第101回紅白玉入れの宴というイベントで、people in the box、white ash、赤い公園、テスラは泣かない。のとき。私はpeople in the box赤い公園がこのとき大好きで、このバンドを1度に見られるなんてめちゃくちゃお得だなという気持ちで行ったのですが(余談だがこのライブは妹と一緒に行った)本当に最高でした。

 過去の自分が詳細にセトリを書いていないのが残念ですが、1曲目からきっかけというマニアックなチョイスで始まったのがグッと来た(確か、1曲目はギターを弾いてなかった気がする)んだけど、何より私が一番赤い公園でもっと評価されて欲しいと思っている「風が知ってる」を聞けたのが本当に嬉しかった。ラスサビの「風が知ってる」の箇所のハーモニクスをかき鳴らすつのまいさを見て、自分のギターヒーローの一人は間違いなくこの人だと確信した(他にはkurt rosenwinkelとか照井順政)。それくらいにかっこよくて眩しかった。

www.youtube.com

 ちなみに、このMVで飛んでいる札束は本物で、スタッフやメンバーのものです。なんか、そういうところまでリアリティにこだわるっていうのが推せるなあって思った。

 

 赤い公園、というか、つのまいさの話になってしまうが、私の中でジャニーズに採用されるということは、j-popの王道の在り方の一つとして受け入れられたこと、という他人からすると謎であろう評価基準があるのだけれど(それを採用すると「愛、テキサス」によってやくしまるえつこはポップスの王道ということになるのだが(本当に私はそう信じている))、つのまいさが24,5歳でSMAPのJOY!!を提供したことは、間違いなく彼女が破格の人であるということの証左でしょう。これはハマ・オカモトがつのまいさが亡くなったことを受けてラジオで述べていたことと記憶しているが、同世代のミュージシャンがSMAPに曲を提供することができるということは一つの希望で光だった(と記載しているが、希望で光とかは言ってなかったと思う、何か肯定的なことを言っていた)ということは間違いなく世代間で共有されていたことだと思う。プロミュージシャンのヒーロー、つのまいさなんですよ。

 あと個人的にだけど、若いうちにかっこいい失恋ソングを書くシンガーソングライターは素晴らしいという価値観があるんだけど(だって若いガールズバンドとかって恋愛楽しいみたいなことばっかり歌うじゃん?なんなの?お前の幸せをいちいち表明するなよって思ってしまうんですね、非モテなので)つのまいさはCanvasとかいうはちゃめちゃいけてる失恋ソングを書いてて。これが個人的に凄く好きなところが失恋のことを歌っているんだけど、少しずつ失恋に冷めつつあって、次に向かっていくような前向きなニュアンスが少し含まれてるところなんですよね、「ひとひらの祈り 時よ止まれなんて」っていう終わり方なかなかできないですよ、作ろうとすると失恋している自分に浸ってしまいがちなので。

Canvas

Canvas

  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

 

 「熱唱サマー」の初回限定盤についているDVDには、作品の製造過程が記録されているのだが、確かその中でつのまいさが「闇夜に提灯」の「「助け舟も見えない大暗中 want you」という詞が思い浮かんだとき私の才能は枯渇したw」と述べているのだけれど(うろ覚えだが)、この曲以降、作詞の幅が広がったというか、それまでのシリアスであったり遊びの少ない詞が、抜くところは抜いた遊びのある歌詞も出てきて、歌詞が一皮むけたな...って思ったんだけど、マジでお前は何様なんだ?

 「KOIKI」のインタビューも良かった。何が良かったかっていうと、今までは自分の思いとは別のものを書いてきたけれど、(恐らく地震以降の雰囲気を受けて)初めて自分が思ったことを少し書いたみたいなことを言っていて、ちょっとグッと来てしまった。マジで、出典出せよっていう話だと思うんですけど、すいません、全部記憶ベースなんですよ、許してください。それくらいには私はつのまいさの言葉が心に残ったんですよ、それくらい夢中だった。

www.youtube.com

 

 だから、佐藤千明が脱退するって話が出たときには、高校の頃からのバンドの付き合いだから、無批判にこのバンドは10年先も20年先も続いていくと思っていたので、ショックだったし、終わってほしくないなって思ったし、石野理子を招いて超名曲「消えない」の音源を聞いたときには、つのまいさと赤い公園最強すぎるだろって思った。ファンが待っていた言葉に対して120%の力で答えてくれる尊敬すべきバンドだと、みんな思ったんじゃないかな、私は思ったし、初めてyoutubeでMV見て感動した。

 

 ゆえに、赤い公園はこれからも続いていくと思っていた矢先につのまいさが亡くなったことは残念だった。

 残念だったんだけど、最後に残した「オレンジ」「pray」を聞いたらさあ、なんで死んだんだよとか言えねえわってなったんですよ。曲のレベルが違うというか、一歩先に行っちゃってる人の詞と曲で、MVまで思わせぶりで、歌詞じゃないけど、お前かっこつけすぎだろって。

www.youtube.com

 

 今回の解散ライブ、こんな序盤で「pray」やるのかよ、ファンがお通夜にならないか?って思ったけど(死を決意した人間が残された人たちの未来、幸せを祈る歌じゃないですか)、ライブの終わりが「オレンジ」っていうのは結構納得感があったのでアンコールなしで終わるのかなって思ったんだけど、アンコールがあって、赤い公園は優しいなって思いました。だって、sora tob sakanaは照井順政作曲の曲を全てやって「untie」でアンコールなしで終わりですよ、これはもはや美意識の問題なんですけどね。「オレンジ」自体、自分との約束は忘れていいよって、ある意味では突き放す詞なわけですよね、解散っていうのは一方的な話でもあるわけで、そうやって突き放して、ファンに現実を突きつけることもできたはずなのに、明るい曲で終わる(最後は凛々爛々だった)っていうのは、優しいなって思わずにはいられませんでした。うたこすは途中でギターにピアノまで弾いちゃって。お前の仕事だろつのまいさと思いました。

 

 寂しい。